2019/7/21「ファイナンスを経営に活かす」

全10回のうち6回目を迎え、後半戦に入ったsessions。
今回は、株式会社ゴールドリッジ・代表取締役の金澤卓さん、READY FOR 株式会社・地域創生事業部マネジャーの富澤由佳さんの2名にお越しいただき、「資金の出し手の心理に沿って、自らの事業を多角的に見る目、伝える力を養う」をテーマに、レクチャーとワークを展開していただきました。

 

タイムライン

10:30 Sessions前半5回の振り返り、今日のゴール・進め方の説明
10:40 受講生自己紹介、資金面の課題・今日の期待の共有
10:55 金澤さんレクチャー、Q&A(30分)
11:35 富澤さんレクチャー、Q&A(30分)
12:10 お昼休憩
13:00 金澤さんと受講生の事業計画のブラッシュアップ
13:45 富澤さんレクチャー、ワーク
14:30 金澤さん・富澤さん 個別相談
15:45 全体で一日の学びの共有
15:50 終了

 

まずはゲスト1人目、金澤さんより、個人投資家としてのご経験と、ご自身のスタートアップのご経験を交えながら、金融機関との付き合い方についてお話いただきました。

 

 

事業を立ち上げるにあたって、自分がやりたいことを追求することはとても大切ですが、並行して「儲かるかどうか」を突き詰めていくことは事業を成功させるうえで欠かせません。

「世の中には、儲かる/儲からないの世界で生きている人と、かっこいいことをしているか/楽しいか/やりがいがあるか/社会的意義があるかなどの世界で生きている人がいる。後者の方が圧倒的に多いけれど、事業を立ち上げるのであれば、前者の視点も取り入れていくことが大切」と金澤さん。

 

スタートアップで心掛けたいことについても、わかりやすくまとめていただきました。

・まずは小さく始めよう
・帳簿管理は自分でしよう(税務の知識を付けることで、ビジネスも広がる)
・できるだけ面白い切り口をつくろう
・できる限りの自己資金は用意しよう
・もらえるお金はもらおう(補助金制度は世の中にたくさんある、きちんと探そう)
・借りられるお金は借りよう(出資=会社の決断を他人に委ねることであり、避けられるなら避けたい)
・お金だけでなく、モノを借りる(リース)、ヒトを借りる(労働力)方法も考えよう

自分のやりたいこととそれを実現するためのプランを行ったり来たりしながら深めている者にとっては、意識の切り替えが必要であることを感じたひと時でした。

 

 

続いてゲスト2人目、富澤さんより、”心と懐を動かす共感の作り方” を中心に、クラウドファンディングの活用法についてお話いただきました。

 

 

クラウドファンディングは、銀行など金融の専門家ではなく、一般の人々からお金を集める仕組みです。

極端な言い方をすれば、日々パンや野菜を10円でも安く買えないかといった部分に意識を巡らせている私たちからすると、「その事業は儲かるのか」「実行者にプロジェクトを成功させるだけの実績があるのか」という金融の専門家によく見られがちな点だけでなく、「なぜその事業を行おうとしているのか」「そこにどんな想いや願いがあるのか」といったもっと身近なストーリーが気になったりはしないでしょうか。
一人ひとりが「支援をしよう」と思う動機も一様ではなく、リターンが欲しい、実行者を応援したい、活動を応援したい、と様々です。

また、クラウドファンディング=資金調達の手段として捉える方が多いかもしれませんが、それだけでなく、テストマーケティングやPR、事業計画のブラッシュアップ、さらには、長期的な仲間づくりや覚悟決めにも繋げることができる手段なのです。
ただ単にお金を集めるのではなく、なぜ自分がクラウドファンディングを行うのか?目的を明確に持つことも欠かせません。

「支援者視点」を持ち、自分のプロジェクトと支援者の関係性を見極め、それに合わせてリターンを設計したり、情報発信をすることで、より効果的にクラウドファンディングを進めることができるといいます。

 

富澤さんからは実際の事例もご紹介いただきました。

支援者を巻き込んだゲストハウスの事例、テストマーケティングを兼ねたワイナリーの事例、PRを兼ねた農園を盛り上げる事例、伝統工芸の維持と新商品開発の事例、さらにはふるさと納税と組み合わせ地域活性化のためのキャンプを開催した事例などなど…。
クラウドファンディングをどう活用できるのか、イメージを具体的にすることができました。

 

「クラウドファンディングとは「仲間集め」がもたらす「お金集め」なんです」と富澤さん。
自分の取り組みをいいねと言ってくれる仲間をまず見つけ、支援者の視点を持ち、自分の人柄や事業の色を全面に出し応援を募っていくことで、「集った仲間がお金を集める」という結果に繋がるのです。

 

金澤さん、富澤さん、2つの違った視点からのお話を通じて、資金の集め方と起業を志す者としての構え方について、考えを深めた午前中のセッションでした。

 

 

お昼休憩を挟み、午後1時から再開。

まずはプログラムに参加している南三陸町地域おこし協力隊のメンバーのプロジェクトをモデルに、事業のブラッシュアップを行いました。
メンバーから一通りの事業計画を説明した後、金澤さんから金融関係者目線でのフィードバックをいただきました。

金融機関の担当者の目線に立って、事業の軸となる「何が一番やりたいことなのか」をシンプルに伝える資料作りや、「必ず成功する」と自信をもって言い切ることが大切であること、そして資金調達金額や方法についても具体的なアドバイスをいただきました。

 

 

 

次に、富澤さんから「プロジェクト成功の秘訣」と題して、主に共感の作り方をワークショップ形式で学びました。

まず取り組んだのは、以下文中の〇△◻︎を埋めるエクササイズ。

「〇〇が△△をできるようにするために、◻︎◻︎な機会を提供するためのプロジェクトです」

「私のプロジェクトがクラウドファンディングを使うのは〇〇だからです」

「〇〇が△△な気持ちになったらお金を出してくれます」

一見とてもシンプルな文章に見えるかもしれませんが、事業の本質や軸などが明確でないとすぐに埋めることができません。参加者によっては、数分で文を完成させる人がいる一方、悩む人もいたり、それぞれ深堀しなければいけない部分が見えたのではないでしょうか。

 

 

続いて、支援者に対するリターンを考案するエクササイズを行いました。ここでは、商品やサービスのターゲットと、お金を出してくれる支援者のターゲットは異なる可能性があることを体感しました。

また、午前中のセッションにあったように、その支援者は、リターンが欲しいのか?実行者を応援したいのか?活動を応援したいのか?どの動機からお金を出してくれるのかを想像することもリターンを設計するうえで大切だということも体感しました。

 

最後に富澤さんから、クラウドファンディングを行うにあたっては、「一歩踏み出す勇気とやり切る覚悟と支援者に対する感謝の気持ち」が必要だとコメントをいただきました。

 

 

その後、1時間ほどゲストのお二人への個別相談タイムを取り、メンバーそれぞれ事業を進めるうえで資金面について悩んでいることや、どのタイミングでクラウドファンディングを利用すればより効果的なのかなどを相談しました。

 

最後にメンバー・ゲスト全員で今日の学びを共有しました。

参加メンバーからは、
「自分自身のプロジェクトはよく理解しているつもりだったが、もっと伝わりやすく言語化する必要性を感じた」
「銀行と個人とで事業の伝え方を変える必要があることがわかった」
「資金調達に関して苦手意識があったが、詳しくお話を聞いてブラッシュアップを重ねれば自分でもできる気がした」
といった感想がありました。

ゲストの金澤さんからは、
「今日の参加者の中にも、お金を借りたいと伝えることが苦手だという人もいましたが、お金を借りるということは悪いことではありません。どれくらい借りて、どう返すかの組み立てをしっかり構成すれば難しい話ではありませんよ。」

富澤さんからは、
「クラウドファンディングは熱意ややる気を論理的に表明して個々人からお金を借りる仕組みですが、参加者の皆さんが行う事業を続けるには、それだけでなく金融機関の支援が絶対に必要。そういう意味では今日私たちがそれぞれの視点からお話できて良かったと思います。」

とのコメントとエールをいただきました。

 

 

残り4回となったsessions。毎回異なる観点から事業計画に磨きをかけ、行動に繋げていきます。

fin.