2019/3/16「事業と地域資源の結びつきを捉え、まちの未来を想像してみよう」

第2回目の今回は、一般社団法人サスティナビリティセンター代表理事の太齋彰浩さんをお招きし、センター設立にかけた想いを伺い、この町の資源と受講生がこれから立ち上げていく事業の結びつきを可視化したうえで、町の未来に向けてお互いに連携できそうなことについてディスカッションしました。

 

〈タイムライン〉
10:00 前回の振り返り、今日の流れ説明
10:10 ストーリーオブセルフで自己紹介
11:00 太齋さんゲストトーク:サスティナビリティセンター設立に込めた想いと今後の展望
11:45 ワーク説明
12:00 ワーク:input(調達するもの)とoutput(売るもの)をマッピング
12:30 受講生全員のワーク結果を一つのマトリックスに統合
13:05 お昼休憩
14:00 ディスカッション:お互いに連携できそうなこと、サスティナビリティセンターとできそうなことは何か
15:10 感想共有、次回案内
15:15 終了

 

まずはじめに前回の振返りをしつつ、自己紹介を兼ねたストーリーテリングを行いました。
受講生それぞれが、なぜ南三陸で今の活動に取り組むようになったのか、事業の背景や想いを共有しました。

今回のゲストスピーカーは、一般社団法人サスティナビリティセンター代表理事の太齋彰浩さん。
震災前は「自然環境活用センター(通称:ネイチャーセンター)」で志津川湾の生態系に関する研究と学びの創出に取り組み、震災後は行政職員として水産業の復旧やバイオマス産業都市構想の策定に関わり、現在は「一般社団法人サスティナビリティセンター」の代表として南三陸町の森・里・海の地域資源の活用や学びの創出に尽力されています。

 

 

学生の頃、初めて伊豆の海を潜った際に、水面下に広がる多様な環境に衝撃を受けたという太齋さん。
海の面白さを多くの人に伝えたいと考え、世界的に見ても自然環境が豊かで特徴的な志津川へ移住。志津川湾をフィールドに、ネイチャーセンターを通して湾内の生態系の研究や学びの提供を行った結果、年間約2500人もの関係人口を生み出しました。

ネイチャーセンターでの成果が徐々に形になり、次の一手を考えていたタイミングで東日本大震災が発生。それまでの調査データや教材が流出したことに落胆する暇もなく、無我夢中で震災からの町の復旧に奔走しました。その過程で、震災前には知りもしなかった方たちとのつながりができ、同じ世界観や将来像を抱く人々に出会えたそうです。

例えば、町内で出る生ゴミや一般廃棄物を分解してバイオガスと液体肥料を生成する施設「南三陸BIO」が建設され稼動し、戸倉地区では漁業者自らが牡蠣の生産量を震災前の⅓に減らすことを決断した結果、国際認証であるASC認証を取得するなどの動きがありました。震災をきっかけに、住民や事業者が主体となって、現在の南三陸町の資源循環型のまちづくりの軸となる動きが出来上がってきたそうです。

もちろんこうした動きの背景には、もともと南三陸において自然と共生する意識や文化が根付いており、自然環境に関する調査研究が長年積み重ねられてきたことがベースにあります。昨年、志津川湾はラムサール条約湿地に認定されましたが、これは震災以前から多くの研究者が南三陸を訪れ、志津川湾内の海洋生物の多様性などを調査していたからこその結果です。

こうした動きをより多くの人々に認識してもらうために、「地域内で経済を循環させる」という考え方が今後大切になると太齋さんは言います。
地域の中でどれくらいの経済生産があり、そのうちどれくらいの割合が地域の中で消費され、どれくらいの割合が地域の外に流出しているのか。経済活動を生み出すための資源のうち、どれくらいの割合が地域の中で供給され、どれくらいの割合を地域の外から買ってきているのか。まずそれらを可視化します。そのうえで、地域の中で供給し消費する(=循環する)割合を増やしていくことで、災害時など外部環境の変化があったときにも存続し続けるレジリエンスな地域を形成することができます。
この考え方は、すでにいくつかの自治体がまちの将来ビジョンの策定に取り入れ始めているとの紹介があり、午前中のセッションは終了しました。

 

午後のセッションでは、受講生が自らの事業を行うために必要な資源を、マトリックスを用いて可視化していきました。
マトリックスは、どのフィールドからインプットを得て、どのフィールドに商品をアウトプットするのかを示すもので、横軸に何を(原材料/加工品/サービス)、縦軸にどこから(町内(森/里/海/市街地)/町外)を取ったものです。
まず受講生それぞれが自らの事業について書き出しました。
その上で受講生全員のインプット・アウトプットを一つのマトリックスに集約していきました。

 

 

そうして整理したマトリックスを眺めながら、アウトプットが重複しているフィールドについては、受講生同士が連携したり、サスティナビリティセンターや町内企業など地元のプレイヤーの方々と連携することでさらなる価値を提供できないか、多くのインプットを生み出しているフィールドについては、そのフィールド自体の価値を高めることで事業の価値を高めることができないか、様々なアイデアを出し合いました。

そして地域内で経済を循環させるための肝は「人」であることに着目し、特に地域住民の方々の理解・共感を得て、事業を推進していくためにはどうすれば良いかについても考えを巡らせました。

 

 

地域で事業を生み出し、地域で経済を回す仕組みを作る。
地域の資源を最大限に活かすことを意識し、地域のコーディネーターとしてこの町の未来に向けて日々尽力されている太齋さんとのディスカッションを通じて、自らの事業と地域の未来とを同じ視線上に捉える機会となったセッションでした。

fin.