2020/12/12「夢を志に昇華する」

受講生の伊藤です。

今回は、2020年ラストのセッション。
前半では、実際に地域で事業を始めた
MARUMORI-SAUNAの本多さんから、地域で何かを始めることと、その際の仲間の巻き込み方を、ご自身の経験をもとにお話していただきました。
後半では、グループに分かれ、各受講生の発表に対し、
本多さんと、ボーンレックスの長谷川さん・森田さんからフィードバックをいただきました。

 

⚫︎ゲスト:

本多 智訓 氏 / MARUMORI-SAUNA株式会社 代表取締役
長谷川 寛樹 氏 / 株式会社ボーンレックス
森田 幸恵 氏 / 株式会社ボーンレックス

⚫︎ゴール:

①ミッション、ストーリー、商品像、ターゲット、提供価値が言語化できている
②ミッションを実現するための事業規模を掴み、実現に向けたマイルストーンを描けている
③事業を通じて自分が何をしたいのか、何にこだわるのかを自覚し、他人を巻き込む覚悟が定まっている

⚫︎タイムライン:

13:00 メンバー紹介・今日のゴール・進め方の説明
13:05 受講生より今日のセッションを通じて磨き上げたいポイントの共有
13:10 ゲスト自己紹介
13:15 本多さんゲストトーク:MARUMORI-SAUNAを通じて東北で実現したい世界
13:50 Q&A
14:05 1人ずつプレゼン+ゲストとのQ&A
15:55 感想・ネクストアクションの共有
16:00 ゲストよりコメント
16:10 終了

 

まず、事務局ESCCAの鈴木麻友さんから、今回のメンバーの簡単な紹介と今回のセッションの趣旨について説明がありました。
受講生は、今回のセッションを通じて磨き上げたいポイントを一人ずつ共有しました。ここでは、「最近、自分一人ではできないと感じることが多い。今回のセッションでは、特に、これから人をどう巻き込んでいくか考えながらお話を聞いていきたい。」という声もありました。
続いて、今回見学に来てくださった方と、初対面のゲスト、ボーンレックスの長谷川さんから自己紹介をしていただきました。

 

 

前半は、MARUMORI-SAUNAの代表取締役、本多さんから、

・自己紹介とMARUMORI-SAUNA創業への道のり
・その中でどのように地域の方々を巻き込んでいったのか
・どのような問題が発生しどのように乗り越えていったのか
・ビジョンの変化

について、お話していただきました。

 

まず、東北との出会いと東北に対する想いの変化を中心に、経歴などの自己紹介をしていただきました。

本多さんは、大学卒業後に就職した大手企業で盛岡へ配属されたそうです。これが、本多さんの東北との出会い。
ある夏の暑い日、川沿いを歩いていると、水の音がさらさらと聞こえ、水面の涼しい風がすーっと吹いてきたそうです。それまで知らなかった、自然と共に生きるという世界観に触れ、見るものすべてが美しく感じるようになったといいます。これが、MARUMORI-SAUNAを創業する原点となった本多さんの原体験です。

 

その後、東北の企業に活動の場を移し、東北で自ら生きていく力をつけよう、とビジネススクールに通うものの、卒業と同時に震災が起こりました。「大好きな東北を何とかしたい」という想いで東北での起業支援を始め、起業に必要なスキルやノウハウを多くの方々に教えていましたが、「東北を盛り上げたい、そのために意味があることをやりたい」という強い想いがある本多さんにとって、単に起業のやり方を教える、という方法にはどこか違和感があったそうです。

そこで、「まずは自分がやり、自分の背中を見せて地域の人を動かしていこう」と、創業スクールを受講していた方々に声をかけ、仲間を募ってMARUMORI-SAUNAプロジェクト発足。二人の仲間と共に、まずは、サウナの本場フィンランドを訪れました。これが最初のチームビルディングとなり、構想を練っていくうえで言語化できない部分でも共有できた、といいます。
本多さんのこの経験から、一緒に巻き込みたい人と同じことを経験することの大切さ、を教えていただきました。

 

次に、MARUMORI-SAUNAプロジェクトを進めていくうえでの仲間集めについて、お話していただきました。

丸森町の人で得意技が少しずつ違う、でも、見ている方向性は同じ、そんな6人の仲間。その中には、役場の方もいらっしゃいます。地元丸森町の方だからこそできること、外から地域に入った本多さんだからこそできること、それぞれが強みを生かして様々な困難を乗り越え、MARUMORI-SAUNA創業にまでこぎつけることができたそうです。

このチームで始めるにあたり、まず大事にしたのはビジョンとミッションをしっかりと言語化し、全員の認識をしっかり合わせること。何のためにやるのか、何を目指すのか、そのために何をするのか。言語化しにくい初期の段階でも粘り強く何度も話し合いを重ねることでしっかりと言語化し、さらに、創りたい世界を1枚の絵で表現したそうです。
絵で表現されていると、言語化されていない部分まで理解しやすく、初めて話を聞く人にとっても、チームメンバー同士で自分たちがどこを目指すのか認識を合わせる上でも、とてもやさしく明確な表現方法だと感じました。

 

そうしてMARUMORI-SAUNAは、晴れて2018年10月にプレオープン、11月にグランドオープンを迎えました。

しかしその1年後の2019年10月、台風被害に見舞われてしまいます。サウナの目の前を流れ、天然の水風呂の役割を果たしていた川が増水し、土地が大きく削られてしまいました。サウナの建物自体は奇跡的に残ったものの、サウナから川への導線でもあり、休息の空間でもあった土地の大部分が流されてなくなってしまったのです。

MARUMORI-SAUNAにとって「自然」はなくてはならないもの。そんな「自然」によってもたらされた災害。
改めて「自然と共に生きる」ことの意味を考えさせられたそうです。
しかし、そんな困難に見舞われ、営業再開の見通しが立たないほどの状態になっても、本多さんたちは諦めませんでした。「この場所は、訪れる全ての人たちの大切な居場所。この居場所を必要としてくれる人々と共に、新たなMARUMORI-SAUNAを一緒に創っていきたい。」そんな想いでクラウドファンディングを立ち上げ、応援団を募集されました。
本多さんたちの想いは無事に全国の人々に届きました。クラウドファンディングは、目標を大きく上回って達成。さらに、MARUMORI-SAUNAを愛するボランティアの方々やメディアなどの協力もあり、施設は無事に復旧、2020年3月に営業再開しました。

 

最後に、MARUMORI-SAUNAのビジョンの変化についてお話していただきました。

創業時は、「チャレンジを体現していく。背中を見せて2番目3番目のチャレンジャーを誘発していく。」をビジョンとして掲げていたそうです。しかし、実際にMARUMORI-SAUNAを経営していく中で、そのビジョンが変化してきたといいます。「東北の自然には価値がある」という強い信念のもと、「東北の自然価値を抽出して新しい産業を創りたい。自然に飛び込み、自然と共に生きるということを具現化していきたい。」という思いが芽生えてきたそうです。

「まだ言語化できていなくて、うまく説明できない。」そうおっしゃる本多さんからは、今後さらに「Live with nature;自然と共に生きる」ということについて深く追求していくことへのワクワク感が溢れ出ていたように感じました。MARUMORI-SAUNAという場所ができても、その形だけで満足せず、その意味をさらに磨き上げていこうとしている姿は、とてもかっこよく、それが丸森町の方々を動かしていくのだと思いました。

 

続いて、本多さんとのQ&Aへ。

受講生からは、
「バランスよく仲間を集めてこられたが、どのように出会ったのか。」
「チャレンジしやすい仕組みづくり、とあったが、チャレンジしやすい雰囲気を作ったのか、それとも制度のようなものを作ったのか。」
などの質問がありました。

出会いについては、まず、本多さんが教えていた創業スクールに来ていた方で、丸森町に対して危機感を持ち、本多さんのビジョンに共感した方を巻き込まれたそうです。それから、その方たちと一緒に、ビジョンを実現するために誰を巻き込んでいくか、「ビジョンを主語にして」決めていった、と教えていただきました。
チャレンジしやすい仕組みについては、雰囲気がとても大事で、とにかく楽しく、全部前向きに解釈してプロジェクトを進めていったそうです。また、定例ミーティングを行うことも大切で、本多さんたちの場合には、必ず毎週水曜日に2~3時間ミーティングを行い、そこが癒しの場になっていた、といいます。

 

 

本多さんにはまだまだ多くのお話をお聞きしたところでしたが、あっという間に前半のトークセッションは終了。

後半は、受講生が1人ずつ自分の事業について発表し、それに対してゲストから質問やアドバイスをいただきました。
ここでは、ボーンレックスの長谷川さんと森田さんの部屋と、MARUMORI-SAUNA の本多さんの部屋、2つのブレイクアウトルームに分かれて行いました。

 

受講生ひとりに与えられた時間は、各部屋30分ずつ。
そのうち10分間のプレゼンテーションでは、①ミッション、②ストーリー(なぜ取り組むのか)、③商品像、④ターゲット、⑤提供価値、⑥事業規模、⑦今後のスケジュールと2月20日のビジョンを中心に発表しました。

 

本多さんの部屋では、実際に地域の外からの人でありながら、地域の方々を巻き込んで事業を進めている本多さんだからこそできるようなコメントも多く聞かれました。特に、地域の人をどう巻き込むかという点について、「将来、自分を取り巻く人々が誰かに書く手紙を想像して書いてみることが良い」というアドバイスが印象的でした。これは3年前、実際に本多さんたちが行ったことであり、手紙があると一気に世界観が広がるとともに、「このような手紙を書いてもらえるような、そんな世界を創りたい」と、周りの人に伝えやすくなるそうです。

 

ボーンレックスの長谷川さんと森田さんの部屋では、改めてミッションの磨き上げに繋がることを示唆していただいた場面が多くみられたように思います。受講生たちは、Sessionsが始まってからの約3か月半で、ある程度ミッションや自分の想いの部分がかたまってきたと感じていました。しかし、ボーンレックスの長谷川さんからの質問を通して、よりミッションを深掘りしていき、ミッションを言語化していくうちに手段となってしまった部分を指摘していただいたり、現在やっている手段がうまくいかないときでも変わらない、絶対に譲れない「自分が本当にやりたいこと」をよりクリアにできるようなコメントをいただいたりしました。

 

セッションの最後に、受講生からは感想とネクストアクションを共有し、ゲストからも一人ずつコメントをいただきました。

受講生からは、ゲストからのフィードバックを受けて、「回を重ねるごとに言葉にできていく感覚がつかめてきている。自分はどういう前例になりたいのか、そして、南三陸に住む、移住することってどういうことか、そこで得られる価値は何なのか、考えていきたい。自分が言葉にするのは苦手だが、気持ちをイラスト化してみたい。」「地域の課題・望むことと、自分の表現していることにズレがあると感じた。それを解消するために、まずは農業の方で、南三陸に根差す可能性のある作物を特定し、絵を描きたい。」といった声が聞かれました。

 

ボーンレックスの長谷川さんからは、
①まずミッションを明確にすること、それから、ミッションからの流れを整理すること、
②多くの人に話してみて仲間を見つけること、すると、スピード感やミッションに対する哲学感も変わること、
③2週間で1つずつ結果を出していくことを意識すること、をお話していただきました。

同じくボーンレックスの森田さんからは、
想いを伝えていくこと、そして、いつまでにどういう状態を達成したいか、それに向けて何をしていくのか、を常に意識しながら進んでいくことの大切さを教えていただくとともに、受講生たちの周りには多くの方々がいて、協力体制がしっかりしていることを生かし、自分の不得意なところは他の方たちの力を借りながら、前に進んでいってほしい、というコメントをいただきました。

MARUMORI-SAUNA の本多さんからは、
「周りからは様々な指摘や助言があるが、自分のやりたいという想いが大事。その自分のコアの部分を大切にして進めていってほしい。」
そして、仲間集めについて「一緒の方向を向いていく必要がある。日々、試行錯誤を続けていくことで前に進む。頑張ってください。」という力強いお言葉もいただきました。

最後に事務局ESCCAの山内さんからは、
今日議論に挙がったポイントは、地域で何かを始めるとき、そして始めてからも直面する問題であることであり、事業が始まる前の現在の段階で、そういった問題を予測し対策していくことは、長い目で見た時に伸びる事業をつくるためにとても大切なことだとお話していただきました。さらに、「2月の最終発表では、関わってくださった皆さんを呼ぼうと思っている。そこを改めて宣言する機会にしてほしい。それに向けて考えを深めていけたら、事業にとってもプラスになると思う。」というコメントがありました。

 

最後に、事務局の鈴木さんからコメントと次回の案内を簡単に共有していただき、今回のセッションはクロージングしました。

 

 

今回のセッションでは、前半、本多さんのお話について、すでに地域で事業をおこした起業家の先輩として、これまでのご経験から学ばせていただくことが多く、尊敬できる存在だと感じました。それだけでなく、創業後の現在でも、ミッションのさらなる追求を続け、「この部分が、まだ言語化できていない。このあたりだとは思っているけれど…。」とお話される姿からは、私たち受講生と同じように走り続けている途中なんだ、と驚かされるとともに親近感も沸き、私たちも本多さんのように、事業の形はできても、その先にあるミッションを追及していくのだ、という未来をイメージしてわくわくしました。

後半、各自のプレゼンテーションの時間に、ボーンレックスさんからいただいたフィードバックからは、それまでに何とか言語化したミッションにある意味で満足していた自分がいたことに気づかされました。ミッションについて、長谷川さんに、より深いレベルでの質問を投げかけていただいたことで、自分で気が付いていなかったことにも気が付かせていただきました。今回のセッション終了後にも、さらに思考を深めていくことができ、セッションが行われた3時間だけでなくそのあとの時間も含めて、とても有意義な時間だったと感じています。

 

Fin. (文:Sessions受講生・伊藤夏実)